さくらVPSの定番・マニアック活用例

さくらVPSは、月額685円からレンタル可能な仮想専用サーバ(VPS, Virtual Private Server)サービス。同価格帯の他社VPSサービスと比較して、特にCPU性能が良く重い処理も軽快にこなす。

常にインターネットに繋がったLinuxサーバーを持つと、いったい何ができるようになるのか。メジャーどころからマニアックな活用例まで紹介する。

1, WordPress

マニアック度:★☆☆☆☆

WordPressは今最も勢いのあるオープンソースのCMS。WordPressを使うためにVPSを借りる人は多い。

WordPressは、膨大な量のプラグインによるカスタマイズと、ネット上の豊富な情報が魅力。ウェブサイト周りのたいていのことはWordPressで実現できる。様々なサイトやブログに、個人・商用かかわらず幅広く使われている。

WordPressでウェブサイトを公開するなら、ムームードメインやお名前.comなどを利用し、自分専用のドメインも合わせて取得する。

WordPress環境が欲しい際、安易にWordPress構築済みのレンタルサーバーを選ぶより、Linuxのスキルアップも含めて、VPS上に自力でLAMPおよびWordPress環境を構築しておくと、後々なにかと役に立つ。

環境をすべて自分で構築しないといけない分、手間はかかるが、構築後はVPSの方が自由度が高い。

WordPressしか使わないと決めているなら、ロリポップなどWordPressを使えるレンタルサーバーが安くて楽。プランによってMySQLデータベース数の制限があるので注意。

2, ownCloud

マニアック度:★★☆☆☆

ownCloudは、オープンソースの個人用クラウドサーバー。使いこむと非常に便利で、onwCloudを導入するためにVPSを借りても良いぐらい。

イメージとしては自分専用のdropbox。サーバーの空き容量がまるまる使えるため容量制限はなし。自分のVPSサーバー上にファイルを保存するため、セキュアで転送速度も高速。

また、ownCloudにはWordPress同様多数のプラグインが開発されている。

その気になれば、現在googleが提供しているクラウドサービスを、すべて自前でVPS上に用意することもできる。自分専用のカレンダー、連絡帳、webメール、RSSリーダー、フォトギャラリーなど、すべてownCloudで構築できる。

Windows、Mac、iOS、Android用のownCloudクライアントが開発されている。すべての端末間でファイルの同期が可能。さらに、スマホのカレンダーや連絡帳をownCloudのものと同期させることもできる。

「Own Cloud」の名にふさわしく、各ネット端末内に必要な情報を、すべて自分のクラウドサーバーに集約して同期させることができる。

ownCloudを使うなら、同期させるファイル数にもよるが、HDD容量が200GB程度のVPSプランを選んでおくと安心。ownCloudは各ファイルの履歴管理もしてくれるため、HDD容量に余裕を持たせて運用したい。

3, Minecraftマルチサーバー

マニアック度:★★☆☆☆

Minecraftのマルチサーバーはスペック要求が高く、CPU性能の良いさくらVPSで運用している人が多い。

Minecraftサーバーはメモリ消費が激しい。さくらVPSのエントリープランであるメモリ1GBプランでは少し不安。最低でもメモリ2GBプランか、多人数用のサーバーになるとメモリ4GBプランが欲しいところ。

マルチサーバーを一般公開するならば、サーバーの安定的な24時間稼働が求められる。費用はかさむがメモリ量の多いVPSプランが必要。

4, Wineによるwinプログラム実行環境

マニアック度:★★★☆☆

Wineとは、いわゆるwindowsエミュレータ(厳密には違うらしい)。Linux上でwindows用アプリケーションを動作させる。

あらかじめVNCによる遠隔操作環境を構築しておく。その後Wineを導入すれば、windows用のexeアプリケーションがVPSのlinux上で動く。

Wineを利用することで、Windowsプログラムを24時間稼働させる環境がVPS上に整う。MetaTrader4を常時稼働させFXのシステムトレードを行う、などがよくある活用例。

VNC viewerなどのVNCクライアントを入れれば、スマホやタブレット上でもサーバーの画面を確認することができる。

5, SSHポートフォワーディング

マニアック度:★★★★☆

いわゆるSSHポート転送。手元の端末~VPS間の通信をsshで暗号化したうえで、VPSを踏み台にして外と通信する。「トンネルを掘る」ともいう。

パスワードのかかっていない無線LANや公衆無線LAN、ビジネスホテルでのLAN使用など、パケットスニファ(盗聴)の危険がある環境でもセキュアな通信を可能にする。

特に海外のホテルや町中でインターネットに繋ぐ際は、sshポートフォワーディングを行えるサーバーをひとつ持っていると安心。

また、社内や学内LANなど、外部への通信が制限されている環境で、ファイヤーウォールを越えるためにも使える。中国のグレートファイアーウォールによる情報規制を、sshトンネルを掘って回避するのは有名な話。

MacではOSX標準のターミナルで、Winではcygwinなどのunix環境を構築したあと、以下のコマンドを打てばsshトンネルが掘れる。

ssh -vND 8080 hoge@hoge.com -p 20

その後、localhostのポート8080へsocksプロキシとして接続すれば良い。以降の通信はすべて端末~VPS間がsshにより暗号化され、相手サーバーから見た発信元ipアドレスはVPSのipアドレスとなる。

[より詳しい解説]

6, Twitter bot

マニアック度:★★★★☆

適当な言語でtwitter投稿コードを書き、Cronなどで定期的に実行させることで簡単にtwitter botを設置できる。

PHP、Ruby、Python等の言語でbot作製例が多い。

簡単な時報botや、特定の情報を検索してRTするbotマルコフ連鎖を使った人工無能botなど、アイデア次第でいくらでも作製できる。フォロワーが10000人を超える優れたbotも少なくない。

Twitter botは、普段使いのPC上でも運用できないことはない。しかし最終的にプログラムを自立させて放置するなら、常時接続・常時稼働のVPS上で運用したほうが煩わしくない。

ユニークなbotプログラムを作製できれば、あとは放置しておくだけでフォロワーがどんどん増えてゆくだろう。

7, ハニーポット構築

マニアック度:★★★★★

ハニーポットとは、不正アクセス監視のためのおとりサーバーである。

ひとたびLinuxサーバーを世界に向けて公開すれば、日々信じられないほどたくさんの不正アクセスを受けている。せっかくサーバーを持っているのなら、今どんな攻撃が流行っているのか、独自に情報収集してみると面白い。

ハニーポットプログラムとして、SSHサーバーエミュレータのkippoDionaeaがある。

本物のSSHサーバーはポート20以外で動かし、上記のSSHおとりサーバーをポート20で動かしておく。わざとroot/123456など簡単なユーザーを作って待ち構え、ログインに成功した攻撃者が何を行うのかを、詳細にログを取って観察するわけである。

実際に設置してみると、一個人のサーバーにどれだけ多くの攻撃が行われているのか、びっくりすることと思う。

最新のボットネットプログラムやワームプログラムが入手できたり、攻撃者が使用しやすいパスワードが集計できたりと、得られる情報は多い。

実際のkippoサーバー監視記録は、以下のスライドなどが興味深い。

おわりに

VPSの登場により、個人でサーバーを所有することの敷居は驚くほど低くなった。

さくらVPSをはじめとするVPSサービスは、PC本体料・パーツメンテナンスの労力・高速ネット回線料・電気代などを含めて、自分専用の24時間稼働サーバーを月額1000円以下で借りられる贅沢なサービスである。

常時稼働Linuxサーバーの可能性は無限大で、本ページで挙げた以外にもたくさんの活用方法があるだろう。

上記例の様な明確な目標がなくとも、勉強目的でとりえあずVPSを借りてみて、Linuxに少しずつ慣れながら、自分ならでは活用法を探してゆくのも、良い楽しみ方だと思う。


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